2026.05.01
5月が始まった。 新緑の爽やかさとは裏腹に、私は現場の「熱」の中にいた。颯爽と歩く私の目に飛び込んできたのは、地球の誕生を彷彿とさせる光景――「押湯(おしゆ)」だ。

ドロドロに溶け、赤黒く、それでいて内側から猛烈な光を放つその姿。 それはまさに、数十億年前の惑星が産声を上げた瞬間のエネルギーそのものだった。
圧倒的な熱量の前で、人間はいかに小さく、儚い存在か。 しかし、その熱に晒された瞬間、私の体内に流れる血流は速度を上げ、魂に直接語りかけてくる。
「この原点との距離感を制する者が、次の時代へ行けるのだ」と。
物理的な距離ではない。精神がいかにこの根源的なエネルギーに肉薄し、かつ冷静に制御できるか。私は声に出さず、心の中で静かにその問いに応え、地球の欠片のようなその原点をあとにした。
現場を歩きながら、ふと自分に問いかける。 「今、私は何者なんだろうか?」
経営者として数字と戦略を練る私。 副会長として組織の未来を憂う私。 そして、目の前の金属の揺らぎに宇宙を感じ、言葉を紡ぐ表現者としての私。
これらは矛盾しているようでいて、実は一つの「感受性の精度」によって繋がっている。 多重人格的な視点を持ち、自分を多層的に使い分ける。それこそが、複雑怪奇な現代において、物事の本質を掴み取るための唯一の武器なのかもしれない。
4月に精密な「空間」を設計し、5月、私はそこに圧倒的な「熱」を流し込み始めた。 現場で見つけた地球の原点は、私に「初心」と「野心」を同時に思い出させてくれた。
自分は何者か。その答えは、おそらくこの熱い現場の中にしかない。 感受性の精度を研ぎ澄ませ、多層的な自分を楽しみながら、私は再び次の工程へと足を進める。
5月。福山ステンレスの、そして私の新たな物語が、この熱量と共に今、本格的に動き出す。 黄金の精神を研ぎ澄ませ、原点から未来へと、一気に駆け抜けていくぞ!