2026.03.03
「昨夜は何を話したんだっけ?」
ふとそんなことを考える朝。仲間と共にカウンターに座り、端から端まで語り尽くしたはずなのに、具体的な会話の内容はどこか霞の中。けれど、それでいいのだと思う。ただ一つ、心に鮮明に残っているのは「最高に幸せな時間だった」という手触りだけ。それこそが、何よりの真実だから。
昨夜は、特別な日に暖簾をくぐるお馴染みの寿司屋で「日本酒の会」を開催した。

目の前に並んだのは、選りすぐりの限定日本酒たち。 グラスに注がれるたび、その輝きに目が眩む。凛とした「黒龍」の透明感、そして華やかに香る「花邑」。仲間と共に杯を傾ければ、お酒の持つ物語が喉を通り、体に染み渡っていく。このお酒たちが、私たちの会話をより深く、より饒舌にさせてくれたのは間違いありません。

そして、供される一皿一皿が、まさに至福そのもの。 一貫の握りが大将の手から離れ、目に映ったその瞬間から、魔法が始まる。
「あれ、いま握られたよね?」と目視確認した次の瞬間には、もう目の前から消えている。なぜだ、と驚きながら口を動かすと、そこにはすでに「神」が降臨しているのだ。いつまでも口の中にいてほしい、この幸せを終わらせたくない。そう願わずにはいられないほど、豊潤で繊細な味わいが口いっぱいに広がる。
美味しいお酒、極上の料理、そして気心の知れた仲間。 この三つが揃った夜は、理屈を超えた不思議な高揚感に包まれる。何を話したかをゆっくり思い出すのは、これからの楽しみにとっておこう。
あのカウンターで過ごした濃密な時間。最高だったという記憶さえあれば、また今日から頑張れる。そんな活力をチャージできた、格別な夜だった。