2025.12.16
連日の出張と移動でフル回転していたエンジンを少し休め、今日は静かな時間を噛み締めています。
ふと、目の前の一服に心が救われました。

お抹茶です。 この緑を見つめ、一口いただいた時に浮かんだ言葉は「ほんのり」。 「ほんのり苦く、ほんのり甘い」。 日本語には「ほんのり」という、白黒つけない曖昧で優しい表現がありますが、今思えばとても良い響きですよね。 激しい決断の連続である経営の日々の中で、この言葉が持つ余白に、ふと肩の荷が下りる気がします。 ああ、日本人で良かったと、心底思う今日この頃です。
そんな「和の心」で整った私の目が、次に奪われたのは、やはりこれでした。

福山ステンレス鋳工の魂、ステンレス鋳物です。 見てください、この曲線美。 一般的には「金属=硬い、冷たい」というイメージがあるかもしれません。 しかし、私にはそうは見えないのです。 この滑らかなカーブ、光の受け方……まるで血管が通り、温かい血がドクドクと流れているかのような「生」を感じるのです。 硬い金属に、柔らかさと体温を感じてしまう。 「鉄を見て血が通っているなんて、俺は大丈夫だろうか?」と、ふと自分でも心配になりますが(笑)、これが職業病であり、誇りなのでしょう。
「ほんのり」とした侘び寂びを愛する心と、鋳物の曲線に「命」を見る情熱。 対象は違えど、そこに「美しさ」を見出す感性は同じです。 この繊細で熱い感性があるからこそ、私たちは人の心を動かすモノづくりができるのだと信じています。
日本人としての誇りを胸に、今日も愛する鋳物たちと向き合っていきます。