2025.11.27
今日は、私たちの仕事の「原点」とも言える道具について、少し真面目にお話しさせてください。

これは、ステンレス鋳物を作るために欠かせない「木型(きがた)」の主型(おもがた)です。 見ての通り、新品ではありません。 長年の使用により、塗料が剥げ、角が丸くなり、劣化している部分もあります。 しかし、この傷の一つひとつは、この型から数え切れないほどの製品が生まれ、お客様のもとへ旅立っていった歴史の証でもあります。
この精巧な型を作ってくれた木型職人さんの技術には、改めて敬意を表さずにはいられません。 彼らの手仕事があるからこそ、私たちは鋳物を作ることができるのです。
そして、もう一つ大切なのがこちら。

これは「芯取(しんどり)」と呼ばれる、素材の内側の空洞部分を形作るための木型です。 外側を作る「主型」と、内側を作る「芯取」。 この二つがピタリと合わさって初めて、一つの完全な鋳物が生まれます。 どちらか一つでも欠ければ、製品にはなりません。
現在、ある大切なお客様と、これからの仕事についての交渉が続いています。 そんな中、ふと現場でこの木型たちを見つめ直し、ハッとさせられました。
この木型は、単なる木の塊ではありません。 長年にわたり、お客様の要望に応え続けてきた「信頼の証」です。
「私たちはこれからも、この木型と共に、お客様に対し責任を果たし続けていく」
使い込まれた木型が、私にその「覚悟」を再確認させてくれました。 職人への敬意と、お客様への感謝。 その二つの思いを胸に、私たちは今日も、そしてこれからも、誠実なものづくりを続けていきます。