2025.11.20
今日は現場で、ある「作業の跡」を見て、ふと立ち止まりました。

これは、ガウジング(金属を溶かして削り取る加工)を行った切断部分です。 この断面を見たとき、作業した彼がどこで迷い、どう判断したのか、その思考の跡が見えるような気がしました。
正直に言えば、鋳物の形状というのは、一朝一夕で理解できるほど単純なものではありません。 複雑に入り組んだ3次元の形を、経験の浅いうちから完璧に把握しろというのは、土台無理な話です。
だからこそ、私が彼ら実習生たちに強く持ってほしいのが**「聞く力」**です。
分からないこと、自信がないこと。 それを「たぶんこうだろう」で進めるのではなく、「ここはどうなっていますか?」と声を上げる。 不明な点をそのままにせず、周囲に「問を掛ける」。
一見、遠回りに見えるかもしれませんが、この「質問する」という行為こそが、複雑な鋳物を理解し、自分自身の技術を磨くための最短ルートであり、最高の「成長の糧」になるのです。
今日、この切断箇所を見て私が感じたのは、単なる失敗ではありません。 「形状を理解しよう」と必死に食らいついている、彼らの成長の証です。 挑んでいるからこそ、迷う。
迷ったら、聞いてくれ。 私たちは、いつでも答える準備ができているから。
言葉の壁を超えて、技術で会話する。 日々たくましくなっていく彼らの背中を見ながら、改めてそう思った一日でした。