2025.11.13
今日は、いつもの風景を離れ、東京へ向かう出張日です。

新幹線が西へ向かうと、必ずその姿を探してしまいます。 説明不要の、我らが富士山。 今日は、山頂にうっすらと白い帽子をかぶっていました。
私はいつも、この車窓からの景色と静かに対話します。 「今日も美しいですね。行ってきます」 心でそう呟くと、勇壮な姿の富士山が、いつもより優しく「行っておいで」と応えてくれた気がしました。
無事に東京に到着。 しかし、やる気に満ちたビジネスマンが、まっすぐホテルに向かうと思ったでしょうか。 いいえ、もちろん寄り道です。

ホテルにチェックインする前に、ふらりとアメ横へ。 日が落ちかけ、看板に次々と照明が灯っていくこの時間帯。 熱気と、少しばかりの「怪しさ」が混じり合う、このカオスな感じが実によく、私の足を止めます。
ここは不思議な場所です。 どうでもいい話を最高に真剣な顔で語り合い、逆に本当に真剣な話を、まるで冗談のようにどうでもよく話せてしまう。 そんな独特の空気感と懐の深さが、この街の秀逸なところです。
さて、東京のエネルギーを浴びた後は、夜の部。 本日のメインイベント、会食です。

見てください、この布陣。 今、私の目の前には、美しくサシの入った豚肉と、堂々たるカニの脚が鎮座しています。 そして、その後方に控えるのは、煮えたぎる出汁をたたえた「ヘキサゴン(六角形の鍋)」。
そう、私はいま、この眼前に広がる「確実に美味しいであろう食材」たちを、あそこのヘキサゴンに最適なタイミングで投入するという、極めて重大な使命を帯びているのです。 ゴクリ……。 (もちろん、その使命は完璧に果たされました)
お腹も心も満たされた、最高の会食。 これでホテルに帰る……わけがありません。

どうやら東京の夜は、私をそう簡単には帰らせたくないようです。 仕方ありません。 「いやあ、道に迷っちゃったなあ」なんて、わざとらしい独り言を呟きながら(もちろん嘘です)、足はお気に入りのショットバーへと向かっていました。
座るのは、もちろんカウンター。 マスターにいつものスモーキーなやつ(アードベッグ!)を頼み、グラスを傾ける。 カラン、と氷が鳴る静かな空間で、じっと更けていく東京の夜を見つめる。
富士山に見送られ、アメ横の活気に触れ、最高の仲間と鍋を囲み、最後は一人でウイスキーと対話する。 なんと贅沢な一日でしょうか。
この出張は「ハンドビームチーム」として動いています。 こうして素晴らしい仲間たちと、同じ目的を持ってこの大都会で動けることに、心の底から感謝が湧き上がってきます。
刺激と、エネルギーと、そして最後は静かな内省の時間までくれる。 やっぱり東京は、私にとって特別な場所です。 ありがとう、東京。 ありがとう、ハンドビームチーム。
明日も、この街で全力を尽くします。