2025.11.05
僕には、揺るぎない信念がある。 「日本酒を飲むのであれば、肴は魚」 これは、この国に酒が生まれた瞬間から決まっている、もはや憲法みたいなものだと、僕は本気で信じている。

見てほしい、この炙りはまちを。 香ばしさと、脂の甘さが混在一体となって、僕の理性を容赦なく狂わせに来る。 こんな完璧な「肴(アテ)」が出てきた以上、酒もまた、完璧な「相棒」を求めねばならない。

「大将、今日のおススメは?」
この店に来るのは初めてじゃない。 ここの大将が、心底「酒好き」であることは、前回の訪問でとっくに理解している。 楽しそうに日本酒を語り、目を輝かせて勧めてくる。そんな男が選ぶ酒が、美味くないわけがないのだ。
案の定、大将はニヤリとして一本の瓶を取り出した。 「これ、『寒紅梅』いうて、なかなか手に入らんやつで…」
言葉を被せるように、僕は言った。 「それをください」
口に含んだ瞬間にわかる、本物の味。 最高の魚に、最高の酒。そして、最高の「語り部」である大将。 ありがとう、三重。 僕の「問い」に、120点の「答え」をくれた、この素晴らしい夜に感謝だ。