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鋳物屋365日ブログ2025 ~その311~ 可愛さ余って憎さ百倍?いや、やっぱり愛しい「どんぐり」の話。

2025.11.04

11月4日。 裏山の整地工事という名の「第一章」が完結し、いよいよ今日から「第二章」の始まりだ。 昨日、職人さんたちによって完璧に仕上げられた、真新しい黒のアスファルト。この美しいステージで、これからどんな未来を描こうか。

そんな期待に胸を膨らませていた僕を待っていたのは、無数の「先客」だった。 いや、正確には「先客」の忘れ物だ。

掃いても掃いても、どこからか転がってくる。 ふと見上げると、そこには彼らの「製造元」が堂々と枝を広げていた。

まだ青い、どんぐりの実。 なんて可愛らしいんだろう。このフォルムに、マイナスのイメージなど湧いてこようがない。 そういえば、小さいころ歌で教わった。「どんぐりころころ」と。 きっと、あの歌が愛おしいのは、1個か2個のどんぐりが、その重心の不安定さゆえに見せる、予測不能な「ころころ」という動き。その危うさと健気さが、僕たちの庇護欲をくすぐるのだと思う。

そう、1個か2個なら。

話は、僕がこの黒いステージに到着した直後に戻る。 僕が見たのは、この写真のような掃除後の姿ではなかった。 木1本分の、それこそ数千、数万(かもしれない)どんぐりが、この美しい黒いステージを、茶色く埋め尽くしていたのだ。

可愛い? とんでもない。 一個一個はあんなに愛らしい存在が、圧倒的な「量」という力を持った瞬間、それは「可愛い」を通り越して、一種の「災害」ですらあった。

「どんぐりころころするなっ!!」

僕は、心の底からそう叫んでいた。 歌で教わった愛らしいイメージは、彼らの物量作戦の前に、無残にも粉砕された。

だが、面白いものだ。 文句を言い、悪態をつきながら、この新しいステージを必死に掃除した後。 もう一度、あの木を見上げても、不思議と憎しみは湧いてこない。

むしろ、「これが裏山の洗礼か」と、少し笑えてきた。 彼らは、この山の「主」として、僕たちに手荒い歓迎をしてくれたのかもしれない。「ここが君たちの新しいステージか。まあ、よろしく頼むよ」と、大量のご祝儀(どんぐり)をばら撒いて。