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鋳物屋365日ブログ2025 ~その300~ この縁を、本物にするために。鰻一匹のエネルギーと、二条城の空と

2025.10.24

10月24日、金曜日。 週の締めくくりに僕が立っていたのは、いつもの福山ではなく、またしても、この古都・京都の地だった。

そびえ立つ京都タワーを見上げながら、僕は不思議な感覚に包まれていた。今年ほど、この街にご縁を感じる年はない。まるで、京都という存在が僕を呼び寄せているかのようだ。だが、僕は知っている。ご縁とは、ただ待っているだけでは掴めない。この偶然のような必然を、本物の「信頼」という太い綱に変えるために、自分が必死に動き、学び、結果を出さねばならないのだと。

今回の京都は、胸躍る「研修」の舞台。 その決意を固めた僕の前に、まずは景気付けとばかりに、とんでもない相棒が現れた。

重箱からはみ出さんばかりの、「鰻一匹」。 なんと豪快な姿だろう。その圧倒的な存在感に、「最初は食べきれるだろうか…」と一瞬、心配がよぎった。しかし、香ばしい匂いに誘われ、ふっくらとした身を一口頬張った瞬間、そんな心配は文字通り、雲散霧消した。

美味い。ただひたすらに、美味い。 タレの染みたご飯と共に、僕は無心で箸を進め、あっという間に「ペロリ」と平らげてしまった。これでいい。まずはエネルギー満タンだ。

腹ごしらえを終え、向かったのは徳川の歴史が息づく二条城。 まるで夏が戻ってきたかのような強い日差しの中、お堀の水面が空の青と雲の白を映し出し、吸い込まれそうなほどの静かな美しさを見せている。

そして、城内へ。 僕の耳を楽しませてくれたのは、あの懐かしい「鴬張り」の廊下だ。一歩、また一歩と踏み出すたびに「きゅ、きゅ」と鳴くその音は、まるで歴史の番人が「侵入者あり」と告げているかのようでもあり、同時に、僕らを歓迎する小鳥のさえずりのようでもあり、実に愛らしい。

だが、その荘厳な歴史空間の中で、僕は全く別のものに衝撃を受けていた。 なんと、その鴬張りの廊下に、何枚も、何枚も、「ダスキンのマット」が敷き詰められているのだ。一緒にいた仲間内からも、「まさかここでダスキンに会うとは!」と驚きの声が上がる。

歴史的建造物を守るという現実的な必要性と、荘厳な空間とのギャップ。 伝統と現実。この二つをどう両立させていくか。思いがけない場所で、僕たちは「研修」の核心に触れた気がした。

そうだ、ご縁も同じだ。 ただ憧れるだけでなく、信頼という現実的な「マット」を一枚一枚敷き詰めていくことでしか、守り、繋いでいくことはできないのだ。 鰻一匹のエネルギーを胸に、僕は京都の空の下で、その決意を新たにした。