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鋳物屋365日ブログ2025 ~その297~ 朱色が鎮める、昨夜の熱。伏見稲荷で出会った、二つの「感謝」

2025.10.21

あれほどまでに胸を焦がした、京都での熱い夜。 一夜明けた10月21日の朝、僕の体にはまだ、大切な協力会社様と語り合ったあの情熱の余韻が、心地よい熱として確かに残っていた。

その熱を胸に抱いたまま、僕は今日、ずっと「ご挨拶に行きたい」と願っていた場所へと向かった。久しぶりに訪れる、伏見稲荷大社だ。

楼門をくぐり境内を見渡すと、そこはまさに人、人、人。世界中から集まったであろう観光客の皆さんで、大変な賑わいだ。着物姿の人、大きなバックパックを背負った人、様々な言語が飛び交うこの光景は、昨夜の南座前で感じた活気を遥かに凌駕していた。

京都が、日本が、こうして世界中から「行きたい場所」として選ばれること。それは、日本人として素直に喜ばしく、誇らしい気持ちになる。これほど多くの人々で溢れているにも関わらず、皆さんが比較的マナーを守り、この場の空気を楽しんでいる様子に、どこか安心している自分もいた。

そして、一歩、朱色のトンネルへと足を踏み入れる。 そこは、外の喧騒とは少しだけ空気の質が違う、厳かな空間だった。どこまでも続くかのように連なる鳥居の鮮やかな朱色が、目に飛び込んでくる。ああ、なんて気持ちがいいんだろう。

昨夜の、胸が焦げるような「動」の熱とは対照的な、心が静かに満たされる「静」の感覚。 ずっと来たかった場所で、ゆっくりと手を合わせる。 「いつも素晴らしいご縁をありがとうございます」と。 不思議なもので、そうして感謝を伝えると、昨夜から高ぶっていた心がすーっと落ち着き、澄み渡っていくのが分かった。

ビジネスの熱いご縁も、こうして手を合わせられる場所があるというご縁も、全てが繋がっている。

この美しい朱色と荘厳な空気を、今日ここにいる世界中の人々も感じてくれているだろうか。日本の素晴らしいところをたくさん見て、体験して、いつか母国に帰った時、「ああ、日本のあの旅は最高だった」と懐かしんでくれたら、こんなに嬉しいことはない。

熱い情熱と、静かな感謝。 その両方をくれた京都の懐の深さに、改めて心を奪われた一日となった。