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鋳物屋365日ブログ2025 ~その293~ 無機質なPCに宿る情熱と、感謝を灯す秋の器

2025.10.17

金曜日。一週間の仕事が終わりへと向かうこの日は、安堵と共に、未来への種蒔きを再確認する日でもある。今日、僕のデスクに並んだのは、その未来を切り開くための、頼もしい相棒たちだった。

4台の、真新しいノートパソコン。 一見すれば、無機質で冷たいマシンのように見えるかもしれない。だが、僕にとってこれは、未来への情熱を燃やすための「薪」そのものだ。

今、会社では二つの大きなプロジェクトが同時に動いている。一つは、業務の根幹を刷新する「受注管理システム」。もう一つは、先人たちの知恵と技を未来へ繋ぐ「技術伝承動画マニュアル作成」。どちらも、会社の次のステージに不可欠な、重要ミッションだ。

僕にできること。それは、エンジニアや社員たちが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、最高の「ハード(道具)」を整えること。彼らの才能を信じ、その土台作りに専念する。このPCたちが、どんな未来を創り出してくれるのかと思うと、胸が熱くなる。

もちろん、未来への道筋は、常に平坦というわけではない。 日中は、外で一本の電話に対応していた。耳元に流れ込んでくるのは、一筋縄ではいかない、混み入った話。無意識に眉間に力が入る。

だが、その時だった。ふと、僕の目が、道端に咲く可憐な薄紫色の花を捉えた。 まるで「ながら運転」ならぬ、「ながら花鑑賞」だ。耳では複雑な現実と向き合いながら、僕の目は、いや、僕の心そのものが、自動的に「癒し」を探していたのだ。この見事なまでの自己防衛本能に、思わず笑みがこぼれる。そうだ、どんなに忙しくても、このバランス感覚だけは失ってはいけない。

そして、週の終わりを締めくくる、夜。 今日という一日に、そして、僕が関わる全ての人々への「感謝」を伝えるために、特別な時間を設けた。

訪れたのは、心から素敵だと思えるお店。 目の前に運ばれてきたのは、まるで秋の風景をそのまま切り取ったかのような、美しい一皿。柿を模した器に、鮮やかな紅葉が添えられている。

本当に大切な感謝の気持ちは、言葉だけで伝えるものではない。こうして、素晴らしい食を前にし、同じ空間と時間を共有すること。その穏やかで、満たされた空気感の中にこそ、本物の「ありがとう」が宿るのだと、僕は信じている。

未来への情熱を燃やし、現実の課題と向き合い、そして、支えてくれる人々への感謝を忘れない。 この三つが揃ってこそ、僕の人生は豊かに色づいていく。美しい秋の器を眺めながら、また来週からの活力を、静かに、深く、心に満たしていった。