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鋳物屋365日ブログ2025 ~その288~ 青空にそびえる誇り。西条酒祭り、年に一度の情熱ミッション

2025.10.12

年に一度、僕の魂が故郷に帰るような日がある。それが、西条酒祭りの日だ。10月12日、祭りの最終日。肌を刺すような日差しはまるで真夏のようで、これから始まる熱い一日の幕開けを告げているかのようだった。

今年もまた、この場所に帰ってきた。
通りを埋め尽くす人の波、あちこちから聞こえる陽気な笑い声、そして漂ってくる芳醇な酒の香り。この喧騒こそが、最高の酒の肴なのだ。ただそこにいるだけで、心が浮き立ち、全身の血が沸き立つような感覚に包まれる。これだから、西条酒祭りはやめられない。

人波をかき分けながらふと空を見上げると、そこにはいつも変わらない、僕が愛してやまない風景が広がっていた。

どこまでも澄み渡る青い空に向かって、まっすぐにそびえ立つ酒蔵の煙突たち。その姿は、単なる建造物ではない。「我々は、この地で最高の酒を造り続けてきたのだ」と、天に向かって高らかに宣言しているかのような、揺るぎない誇りと魂の象徴だ。この景色を見るたびに、広島が日本に冠たる酒どころなのだと、胸が熱くなる。

数ある蔵元の中でも、ひときわ僕の心を捉えて離さない煙突がある。

僕が愛する「亀齢酒造」の煙突だ。
そして、この煙突を目指して歩くことこそが、僕にとっての年に一度の重要なミッションなのである。多くの人が美酒に酔いしれる中、僕の心は一つの目標に燃えていた。「今年も、あの大吟醸を手に入れるのだ」と。

逸る気持ちを抑えながら、ついに目的の酒を手にした時の高揚感は、何物にも代えがたい。これぞ、大人の宝探しだ。この一本を手に入れるために、今日この場所に来たと言っても過言ではない。ミッションコンプリートの達成感が、祭りの熱気と相まって、僕の心を最高潮に満たしていく。

賑わいを背に、確かな重みを感じる一本を抱えて帰路につく。
祭りは終わるが、僕にとっての本当の祭りは、この封を切る瞬間に始まるのだ。自宅の扉を開けるのが、今から待ち遠しくてたまらない。この情熱と興奮が、また来年までの僕を支える活力となる。ありがとう西条酒祭り、また来年、この場所で会おう。