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鋳物屋365日ブログ2025 ~その286~ 愛しの積み石たち。夜の重機が照らす、未来への滑走路

2025.10.10

終わっていくものへ感じる、一抹の寂しさ。
そして、これから始まる物語への、胸の高鳴り。
まるで季節が移ろう瞬間に立ち会うように、今、僕はその二つの感情が美しく交差する場所に立っています。その舞台は、日々その姿を変えてきた、福山ステンレス鋳工の裏山です。

あれほど心を奪われた、積み石の工程がどうやら完了したようです。職人の手によって一つ、また一つと積み上げられ、やがて壮麗な壁となっていくあの光景は、もはや芸術でした。鋳物屋である僕が、まさかコンクリートの積み石にこれほど心を魅了されるとは、自分自身でも大きな発見でした。

その愛しい積み石の上に、今日は新しい真っ白なシートが張られています。次のステージへの幕開けを告げる合図だと頭では理解していても、まるで好きだった景色が隠されてしまうようで…不覚にも、寂しさが静かに込み上げてくるのを止められませんでした。

しかし、夜の帳が下りた工事現場に立つと、その感傷は荘厳な未来への期待へと姿を変えていきました。暗闇の中、ライトに浮かび上がる二台の重機。昼間の喧騒が嘘のように静まり返った中で、彼らはまるで未来への出撃を静かに待つ、屈強な兵士のように見えます。

ああ、そうか。裏山の工事も、いよいよ最終局面なのだと、この光景が教えてくれました。思い返せばあっという間の月日でしたが、その一日一日が、私たちの次なるステップへ進むための、何よりも大切な未来への投資でした。

積み石が見せてくれた、モノづくりの原点にある揺るぎない美しさ。その感動を胸に刻み、僕たちは進みます。あの積み石がこの場所の頑丈な「土台」となったように、この工事で得た全ての経験が、会社の未来を支える強固な「土台」となることを信じて。

夜の静寂の中、重機が照らす光は、まるで未来へと続く滑走路のようです。さあ、ここからまた新しい物語が始まるのです。