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鋳物屋365日ブログ2025 ~その255~ 竜が舞う空と、胃腸体育会系な夜

2025.09.09

私たちの日常は、ありふれた景色の連続でできていると思いがちだ。けれど、ほんの少し視点を変え、心を澄ませてみると、昨日とはまったく違う顔をした世界がそこに広がっている。9月9日の今日は、そんな世界の二つの顔に、昼と夜とで出会った一日だった。

昼下がり、事務所の窓からふと空を見上げた。そこに広がっていたのは、単なる秋晴れの空ではなかった。刷毛で掃いたような、繊細で力強い雲が、真っ青なキャンバスを縦横無尽に駆け巡っている。

じっと見つめていると、その雲の群れが、まるで数匹の竜が天高くで戯れているかのように思えてきた。空を蹴り、風を掴み、壮大なスケールで舞い踊る白い竜たち。それは、この場所、この瞬間にしか現れない、二度とは見ることのできない芸術作品だった。

スマホで写真を撮ることはできる。けれど、その場で感じた風の匂いや、肌を撫でる空気の感触、そして空の広大さまでは写し取ることはできない。この一瞬しかない光景を目の当たりにできたという事実に、私は無限の価値を感じていた。日常に潜む奇跡は、案外こんな風に、ふとした瞬間に姿を現すのかもしれない。

そして夜。昼間の竜たちの余韻も冷めやらぬまま、私は仲間たちとの勉強会に参加していた。頭をフル回転させた後はお腹が空く。一行は、ご褒美とばかりにステーキハウスへと向かった。

時刻はすでに20時過ぎ。明日のこともあるし、時間も遅い。「みんな、軽く100グラムくらいのステーキを頼むのかな」。私は勝手にそう予想していた。しかし、その予想は心地よく、そして見事に裏切られることになる。

「俺、300グラムで」「じゃあ私も300で」「右に同じく!」
気づけば、遠慮のかけらもなく、そこにいた全員が満場一致で300グラムのステーキを注文していたのだ。その潔さと食欲に、思わず笑ってしまった。なんと頼もしい仲間たちだろう。私たちは、知識を鍛える勉強会仲間であると同時に、胃腸の強さを競い合う「胃腸体育会系」のメンバーでもあったようだ。

熱々の鉄板の上でジュージューと音を立てる分厚い肉。立ち上る香ばしい匂い。昼間に見た竜の力強さに負けないくらいのエネルギーが、そこには満ち溢れていた。

空に舞う竜の姿に無限の価値を見出した昼。そして、同じ志を持つ仲間たちと、分厚いステーキを頬張るパワフルな夜。
静かな感動と、賑やかな活力が同居した、なんとも私らしい一日。明日からもまた頑張れそうだ、と心から思えた夜だった。