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鋳物屋365日ブログ2025 ~その246~ 旅の終わりを癒す黄色い奇跡。そして、故郷の城がくれた明日への覚悟

2025.08.31

8月31日。長かったようで短かった夏が、今日で終わりを告げます。 私は週末の出張を終え、帰路につく新幹線の中にいました。車窓を流れる景色を眺めながら、どこか寂しいような、それでいて満たされたような、旅の終わり特有の不思議な感傷に浸っていました。

そんな私の手元には、旅の締めくくりにふさわしい相棒がいます。

東京駅で見つけた、名物の「貝づくし」弁当です。 蓋を開けた瞬間に広がる、磯の豊かな香り。ホタテにアサリ、カキと、様々な貝がご飯の上にぎっしりと敷き詰められています。これはもう、貝好きなら間違いなく選んでしまう逸品でしょう。一品一品、旅の思い出を噛みしめるように味わう駅弁は、格別な美味しさです。

美味しい駅弁に心を落ち着かせながらも、やはり「ああ、これで終わりか」という寂しさは募ります。 ところが、その時でした。ホームに滑り込んできた列車に、思わず息を呑んだのです。

鮮やかな黄色の車体。めったに見ることができない、「ドクターイエロー」です。 あまりに突然の出来事に、あっけに取られてしまいました。まるで、私の旅の終わりの寂しさを察して、それを治療するために目の前に現れてくれたかのよう。予期せぬ幸運との出会いに、沈んでいた心は一気に晴れやかになりました。

そして、幸運の余韻に浸っているうちに、新幹線は目的の駅へ。 ホームに降り立ち、見慣れた改札を抜けると、いつもの光景が私を迎えてくれました。

ライトアップされ、夜空に白く浮かび上がる福山城。 昼間の勇壮な姿とはまた違う、静かで落ち着いた佇まいです。この景色を見ると、「ああ、帰ってきたんだな」と心から実感します。旅先での高揚感はすっかり落ち着き、心は穏やかな日常へと着地していくのを感じます。

楽しかった週末の出張も、これで終わり。明日からは、また戦いの日々が始まります。 故郷の城の変わらない姿は、「おかえり」と優しく迎えてくれると同時に、「明日からも頑張れよ」と、静かに背中を押してくれているようでした。

8月最後の夜。私はこの城に見守られながら、明日からの戦いに備え、ぐっと気持ちを引き締めるのでした。