鋳物屋365日ブログ２０２５　～その２３０～ポテトと夕焼けと、40年分の夏の記憶。

2025.08.16

何気なくテイクアウトしてきた、マックフライポテト。この揚げたての香り、そして指先でつまんだ時の、少しだけしんなりとした感触。一口食べた瞬間、記憶は一気に40年ほど昔へとタイムスリップしました。
まだ私が若かった頃。福山駅前に、あの赤と黄色の看板が初めて灯った日のことを思い出します。町中が少しだけ浮き足立っていた、あの頃の喧騒と高揚感。友達と初めてお店に入り、ドキドキしながらこのポテトを頬張った時の、あの何とも言えない特別な味。時代は変わっても、この味は不思議とあの頃のままです。たった一本のポテトが、忘れていた景色や感情を鮮やかに連れてきてくれました。

そんな懐かしい記憶の旅からふと我に返り、窓の外に目をやると、燃えるような、それでいてどこか優しい色合いの夕空が広がっていました。

明日で、今年のお盆休みも終わりです。今年は特に遠出することもなく、家でのんびりと過ごす時間がほとんどでした。けれど、なぜか心はとても満たされています。慌ただしい日常から離れ、ただ時間が過ぎるのを感じる。それはとても贅沢な時間でした。

空に浮かぶ雲も、まるで「穏やかで楽しいお休みだったね」とでも言うように、ゆっくりと形を変えながら、静かに今日という一日を見送っているようです。

40年前の思い出を運んでくるポテトと、今年の夏の終わりを優しく告げる空。特別なことは何もなくても、心はこんなにも豊かになれる。そんなことを改めて感じさせてくれる、お盆最後の夜です。

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