机の上に広げられた分厚いファイルとノート。
まるで学生時代に戻ったような光景ですが、これは私がいま取り組んでいる「大人の宿題」です。社会に出れば、勉強や課題から解放されると思っていたのに、実際には年齢を重ねても“宿題”はついてくるもの。仕事に関する調べ物や資料整理、計画書の作成——その一つひとつが未来のための積み重ねです。机に向かう時間は、あの頃のように集中し、少しだけ背筋が伸びる感覚を思い出させてくれます。大人になった今だからこそ、宿題は義務ではなく、自分の成長を感じられる貴重な時間だと実感します。
外に目をやると、しとしとと降り続く雨の中、一本の木の枝にしっかりとつかまっている小さな蝉の姿がありました。
羽を休め、じっと耐えるその姿は、まるで嵐が過ぎ去るのを信じて待つよう。長く続く雨は時に作物や街に被害をもたらしますが、自然界の生き物たちは、ただ静かに順応し、やがて訪れる晴れ間を待っています。私たち人間も同じ。予期せぬ長雨のような困難に直面しても、心の中に小さな希望を抱き、耐え忍ぶ力を持っていたい。蝉の雨宿りを見て、そんな当たり前だけれど忘れがちなことを思い出しました。嵐の後には必ず青空が広がる、その瞬間を信じて。