社長ブログ

鋳物屋365日ブログ ~その316~

2024.11.13

体のメンテナンスで小さなガラスの壺を火で熱して壺内を真空して背中にひっつける治療方法。
壺で体を痛めている部分にひっつけて吸引する、正式名は分かりませんが壺がひっついた跡が残るんですよね。
タコの吸盤がくっついたかの様に跡がたくさん、確かプロレスラーの背中によくその跡があったのを記憶しております。
悪い血を吸いだすとかなんとか解説しておりました。 
そんな昔の朧げな記憶を思い出しながら現場でみたステンレス素材の一場面。
私のブログにちょいちょい出てくる「冷やし金」という鋳造方案の一種です。
冷やし金を置く理由は、その部分を早く固めたいからです。
写真の冷やし金を置いている素材の内面には壁が走っており、肉の交差点があるのです。
その為に内面の壁に沿って冷やし金を置いて鋳造欠陥が出ない様にしております。
もちろん仕上げにてこの四角跡は綺麗に研磨いたします。

次の写真はせっかく造型した砂型に切れ込みをわざわざ入れております。
まったく誰がしたのか、これじゃ切れ込みに湯が流れ込んで余計な形状が出来てしまうではありませんか。
・・・と思ってしまいますが、造型方法としては正解なんです。
押湯と押湯を繋ぐように切れ込みを入れているには理由があるんです。
写真では少し分かりにくいかも知れませんが、押湯と押湯がけっこう近づいているパターンの鋳造方案です。
これは仕方のないことですが、押湯と押湯が近すぎるとその間に割れが発生してしまうことがあります。
それを防ぐために割れ防止の切れ込みを入れてあえてステンレスを流し込んで割れ止めを素材上に形成するのです。
こうすることで割れを防ぎ欠陥を防ぐのです。
これも以前にブログに書きました「ひと手間」かけるという仕事です。
さて本日も良いステンレス鋳物を鋳込んでいきますね。