2024.11.12
「誘導する」ことが出来るのが鋳物の世界の特徴です。
何を誘導するのかと言うとそれは気体の事です。
いわゆる注湯をした時に発生するガスを誘導するのです。
気体だけに誘導しないと好きなところに行ってしまうので、キッチリと誘導することが良い鋳物に繋がります。
その気体をどう誘導すのかと言うと、まず大切なことは気体(ガス)がどこから発生するか見極めることです。
そして芯取の造型作りで、発生するガスがどこを通るかを決めてやることです。
芯取から発生するガスの出口を鋳造方案で決めてやることで、誘導もこちらのペースで出来るのです。
ここは頭の中でガスの通り道をシミュレートして方案作りをするのです。
写真の解説をいたします。
セラビーズで芯取を造型しております。
写真の中に穴が見えますね、それと赤い紐が飛び出ているのがお分かりいただけるでしょうか?
赤い紐、通称ガス紐は砂の中に埋まっており、紐の形状はストローみたいに内面が空洞になっているのです。
その為にその空洞を通してガスを誘導します。
ガス紐は砂の中に埋まって、その役目を果たすのです。
そして穴の解説ですが、その穴からもガスが発生します。
どうやって誘導するのかと言うと、穴から穴の間に溝を掘って誘導します。
写真の穴が開いている面は主型にぺったりとひっつけますので、穴は塞がれてしまいます。
しかし穴横から溝を掘ることでガスがその溝を通っていき、ガス紐と繋がります。
こちらの写真もガス穴を溝を掘って誘導した写真です。
円形の外側に穴が開いており、中央に繋げるように溝を掘り、一気に外にガスを逃がす様にしております。
手間のかかる仕事ではありますが、この溝があるとないとでは品質がかなり変わってきます。
手間を惜しんでいては良い鋳物作りには繋がりません。
これからも大切な手間は変わりなく時間を取っていきます。