社長ブログ

鋳物屋365日ブログ ~その242~

2024.09.01

鋳物は様々な形をしているで欠陥を出さない様に押湯を設けます。
金属は溶けて固まるときに収縮する性質を持っています。
鉄・アルミ・ステンレスとそれぞれ収縮率にも違いがあります。
鉄10/1000
アルミ12/1000
ステンレス25/1000
となります、上記の数字は目安と思ってくださいね。
鋳造所でそれぞれ設定が若干違うと思いますので。
ちなみに弊社は25/1000で設定しております。
どの金属も鋳込むにはテクがあり、各社で工夫をして良質な鋳物を鋳込んでおります。
押湯の話はまた別でするとして本日の写真のお話し。

冒頭でもお伝えした押湯をどう設けるかと同じくらいに大切な鋳物方案があります。
それは写真の様に、湯をいかに品物に流していくかがとても重要になります。
溶けたステンレスをただ砂型に流し込めばその形なのではと思うかもしれませんが、ところがどっこいです。
溶けたステンレスは電気炉から出した瞬間より温度が下がり始めています。
温度が下がるという事は固まってきているという事です。
適正温度で出湯して、スピーディーに砂型の前まで移動して、正確に早く流し込んでいく。
さらに!ここからが本日お伝えしたいこと、品物の形全体にまんべんなく湯を流し込むことは困難です。
しかし湯シワを作らず綺麗に湯を走らせる方法は「湯の流れを制する」です。
鋳込む素材の形状をしっかりと理解して、その形を生かしてステンレスの湯を品物全体に回していくのです。
その一つの方法としてトーカンという筒状の鋳造アイテムがあります。
砂型の中にトンネルを埋めてそこに湯を走らせるイメージです。
今回の素材は以前は別の方法で湯を流し込んでいました。
それはそれで上手くいっていたのですが、より効率を求めて変更してみたのです。
効率も上がり良質は保たれて、嬉しい瞬間の一枚です。
嬉しい瞬間をこれからもたくさん増やしていきますね!