社長ブログ

鋳物屋365日ブログ ~その237~

2024.08.27

鋳物素材にはその形を保つために自分の身を犠牲にする担当があるんです。
それが写真で紹介する「捨てサン」という部分です。※矢印部分
捨てサンの役目は鋳物形状が歪まない様にすることが最大の仕事で、その役目が終わると除去されてしまいます。
鋳物素材は形となる直前は溶けた金属です。
それが砂型の中に流し込まれて時間の経過とともに凝固して形となります。
溶けた金属が冷えて固まる時に収縮が起こりますので、形状に歪が発生することがあります。
例えばですがクワガタムシのハサミ部分を鋳物で鋳込んだとします。
長いハサミの部分が2本並んで出ているわけです。
この形状は収縮と共に歪が発生しやすく、2本のハサミ部分の距離が変わってしまうリスクがあります。
そのリスクを回避するために、2本のハサミの間に橋を渡すように捨てサンを設置いたします。
そうする事で凝固時の収縮でもハサミの距離は変わることなく、良品のハサミをもったクワガタムシになる訳です。
あ、あくまで例のお話ですので弊社はクワガタムシは鋳込んでおりません。
捨てサンは再溶解して新たな形へと生まれ変わります。
台風の進路が気になりますが、本日も良いステンレス鋳物を鋳込んでいきます。